蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

谷崎潤一郎 「細雪」

偉大なる作家の偉大なる作品です。もしも外国人に、日本という国を象徴するような日本文学の代表的傑作を教えてくれと言われるなら、まず最初に「細雪」と答えるのは間違いありません。この作品の中には日本の生活があり、日本の自然があり、日本人がいます。美しい文章でつづられたそれらのものは、日本というものを知りたい人にとっては一つのガイドにもなり得るかもしれません。この作品は第2次世界大戦中に中央公論において連載が始まりますが、軍部から「戦時にそぐわない」という理由で掲載を止められます。別にきわどい表現などはないのですが、登場人物たちの住む世界が上流階級で、生活があまりに優雅だったからでしょう。谷崎潤一郎はそれでも秘かに書き続けて、戦後の昭和23年に完成させます。舞台は大阪の船場。財産家の家に生まれた、性格の異なる四姉妹のそれぞれの人生を、移り変わる季節とともに描いています。大阪ですので会話は全て関西弁なんですが、今でこそ全編方言の会話になっているというのは珍しくないですが、当時はこれも話題になったようです。ちなみに谷崎潤一郎は後に関西に移住しますが、もとは東京出身ですから関西弁は苦手なはずです。それでも全く違和感はないのでさすがですね。物語の筋としては、三女の雪子の見合い話を中心として様々な出来事が絡み合い、絢爛豪華な上流社会の姉妹がそれぞれに別の運命をたどっていくというものです。時代の変化とともに優雅な世界が徐々に崩れていく現実を底辺に置いてあり、どこかに悲しみを含んでいるような雰囲気がなんともたまらない芸術性を感じさせます。日本文学史を飾る名作です。これを読まずに文学は語れません。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 | HOME | 

FC2Ad

カテゴリー

最近の記事

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

プロフィール

esezo

Author:esezo
FC2ブログへようこそ!

QRコード

QRコード

RSSフィード