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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

永井荷風 「新橋夜話」

まずタイトルにご注意下さい。「しんばしよばなし」と読みたくなるところですが、これは「しんきょうやわ」と読みます。江戸の風情が残った東京の古い街並みを背景に、花柳界の芸者にまつわるストーリーをオムニバス方式にまとめたものです。なにしろ永井荷風ですから文章が美しいのは言うに及ばずですが、それと同時に一つ一つのストーリーの面白さと、あとに余韻を残す最後の幕切れの巧みさはまさに絶妙で、こういったところに計り知れぬ永井荷風の実力を感じさせられます。全部で12話ありますが、いずれ劣らぬ傑作です。物書きという儚い夢を追うえしぇ蔵にとっては、小品においても永井荷風が書くとここまで違うものかと全く愕然とする思いです。どんな作品かちょっと最初のくだりだけ読んでみようとぱらっと開いて読み始めると、文章の美しさとテンポの良さについ引き込まれて、もうちょっと先まで、もうちょっと先までと読み進んで結局一話読んでしまう。それほどの魅力を持った作品が12話も集まっているわけですから、この「新橋夜話」一冊で永井荷風の力量の一端を知るには十分ではないかと思います。ちょいと粋な花柳界の小話、たまにはいいんじゃないでしょうか。ちなみに文学好きな人に好きな作家を聞くと、永井荷風と答える人が少なくありません。文学が好きになればなるほど、この人の作品はより魅力的に思えてくるから不思議です。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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