蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

新田次郎 「八甲田山死の彷徨」

明治35年(1902)に八甲田山を舞台に悲しい事件がありました。日露戦争目前の状態で軍は雪中行軍のデータを取るために八甲田山で訓練を行います。そして日本陸軍第8師団青森歩兵第5連隊の210名のうち、なんと199名が帰らぬ人となりました。冬山の恐ろしさを知らしめた有名な悲劇です。この事件をテーマに山岳小説の第一人者の新田次郎が書いた傑作がこの作品です。吹雪の中の山の様子などは山岳経験豊富な新田次郎ならではの表現で実にリアルに描かれています。彼のおかげでこの悲劇が忘れられることなく語り継がれることになったのではないかと思います。読み進んでいくと、非情な冬山の姿が思いあがった人間を懲らしめているような、そんな感じを受けます。えしぇ蔵はこの作品を1977年に公開された映画「八甲田山」で最初に知りました。小学校の頃、テレビ放映された際に見た時はそのあまりに残酷な光景がショックで、数週間ぐらい引き摺っていたことを覚えています。高倉健、北大路欣也、三國連太郎、緒方拳、加山裕三などの錚々たるスターが、白一色の世界の中で過酷な自然と必死に戦う姿には大変な感動を覚えました。そして一人、また一人と死んでいく兵士の姿に涙せずにはいられませんでした。その後、高校に入ってから映画の原作が新田次郎によって書かれたことを知り、むさぼるように読んで感動を新たにしました。だから個人的にも非常に印象に残っている作品です。この作品がきっかけとなって、新田次郎の山岳小説の世界にはまっていき、これまでかなりの数の作品を読みました。そしてそれに触発されて、トレッキング程度ではありますが自分も山に登るのが好きになり、山の素晴しさを知ることができました。だからこの作品には恩があります。その恩返しの意味も含めて、ここで紹介することでより多くの人に読んでもらえれば嬉しいです。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 | HOME | 

FC2Ad

カテゴリー

最近の記事

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

プロフィール

esezo

Author:esezo
FC2ブログへようこそ!

QRコード

QRコード

RSSフィード