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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

宇野千代 「色ざんげ」

才色兼備の女文士、宇野千代は多くの追随者を生んだ傑作を世に残して98年6ヶ月の人生を終わりましたが、中でもこの「色ざんげ」は恋愛小説の古典といわれる名作中の名作です。よく太宰治は男性なのに女性の心理を見事に描写していると言われますが、この作品を読むと宇野千代が女性なのに男性の心理を見事に捕らえていることに驚かずにはいられません。この物語は画家の東郷青児の心中未遂事件をモチーフとしています。その取材のために東郷青児を訪問し、そのまま同棲してしまうなんてまさに宇野千代的展開ですね。彼女の恋愛遍歴はそれは賑やかです。代表的なところでは東郷青児のほかに尾崎士郎、北原武夫が有名ですが、こういった経験が彼女の作品の幅を広めないわけがありません。自分の思うがままに生きる、そのこと自体がまさに芸の肥やしとなっていったのでしょうね。ところでこの小説の読者をぐっとひきつけて離さない魅力はどこからきているのでしょうか?おそらく皆さんもこの作品を手にして、冒頭から読み始めるとなかなかやめられなくなることに気付くと思います。続きが気になってやめられないのです。これは彼女の得意な”聞き書き”というスタイルで書かれていることが原因です。つまり、作者が主人公にインタビューをして、主人公が語るままに記録したような形式なので、読者はまるでインタビューの場に一緒にいるかのように話にひきこまれてしまうのです。主人公の画家と3人の女性との間の恋愛の記録は、ドラマティックな展開をみせますが、悲しみがある中にもどこか冷めた感じもして、不思議な読後感を残します。名作というのは一言で表現できない魅力を持っているものですね。宇野千代の実力を知るには十分の作品です。稀代の女文士の傑作を是非読んでみて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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