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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

水上勉 「五番町夕霧楼」

本屋でその名前を見つけたら吟味することなくすぐに買う作家が何人かいますが、水上勉もその一人です。かなりの数を読みましたが未だ外れたことはありません。おそらく同じように「水上勉なら・・・」と安心して買う人は多いのではないかと思います。ではなぜ彼はそんなに読み手の心をつかめるのでしょうか?勝手に推測してみましたが、それはきっと「文学」と「エンターテイメント」が融合しているからだと思います。だからどちらの好みの人も捕らえてしまえるわけです。文章の美しさ、表現の巧みさは極めてハイレベルな文学です。一方で読み手を飽きさせない予測不可能なストーリー展開は抜群のエンターテイメント性といえます。一見矛盾するかのような対極にある魅力を見事に融合させた作家は多くのファンを持つに至ります。そんな彼のオールマイティな魅力を堪能するにはこの「五番町夕霧楼」は「雁の寺」とともに最も推薦したい作品です。舞台は京都。五番町にある遊郭「夕霧楼」に夕子という名の美しい女性が預けられます。そこへある若い客が頻繁に通うようになってから、夕子の行動が怪しくなっていきます・・・この辺のワクワク感が水上勉ワールドです。なにか秘密が隠されている!何かが裏で進行している!なんだろう?なんだろう?と読む人を引きつけておいて、驚きの結末を迎える。まさに映画の脚本には持ってこいの面白さがあります。そして物語の底辺にはやるせない悲しみがあります。テーマがしっかりしていることと表現が美しいことによって作品が軽くなりません。文学的サスペンスとでも表現しましょうか。これを読むときっと水上勉ワールドにはまると思いますよ。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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