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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

内田百けん 「御馳走帖」

「阿房列車」でお馴染み内田百けんは食べることに異様な執着があり、大変なグルメであったことは有名です。だからこの作品は出るべくして出たものと言えます。自分の食生活に関する随筆なんですが、いろんな食べ物が出てきてそれにまつわるエピソードが独特の軽妙な文章で綴られています。読んでいると今は亡き内田百けんがどういう人だったのか、非常によくわかります。もともと老舗の造り酒屋で生まれ育ったというおぼっちゃんですが、その気質のまま大人になった感じがあります。自由奔放、誰に気兼ねすることもなく自分のしたいようにふるまったので、”社会人、家庭人としては失格”という評価もなされていますがそこは否めません。ところがその自由さが筆において発揮されると素晴らしいものが生まれるわけですから才能というのは面白いものです。何を書くかという点において、時代を読むとか読者に合わせるとかそういう気遣いは一切なく、全く自分の書きたいと思ったことだけを自由気ままに書いていくというスタイルが逆に多くの人の共感を得たというパターンの作家です。わがままで頑固だけどユーモアたっぷり。少しシニカルで情に厚い。もし近くにいたら、世話は焼けるけど好きにならずにはいられない人柄だったと思います。この作品からもそれが顕著に感じられます。ほのぼのとおもしろい一冊ですので是非どうぞ。ただし読んでたらお腹空いてきますよ。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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