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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

正岡子規 「歌よみに与ふる書」

正岡子規が短歌や俳句の世界において偉大なる存在であることはどなたもご存知だと思います。ではどういった功績で彼は文学史に名を刻んだのでしょうか?極めて優れた短歌や俳句を残したからでしょうか?確かにそれもあります。「柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺」「牡丹画いて 絵の具は皿に 残りけり」「をとゝひの へちまの水も 取らざりき」「くれなゐの 二尺伸びたる 薔薇の芽の 針やはらかに 春雨のふる」などなど、代表作だけを見てもその非凡さは計り知れません。ですが彼の偉大さはそれだけではありません。彼は短歌や俳句に取り組む人たちのために、一つの方向性を示しました。江戸時代までの、形式や言葉遊びに捕らわれすぎたものではなく、感じたことをそのままに、見たものをそのままに、素直に表現したものを良しとしたわけです。それを具体的に書き記したのがこの「歌よみに与ふる書」です。いわば一つの指南書みたいなものです。その内容は非常に過激で、古今和歌集を徹底して批判し、万葉集の心を高く評価しています。具体的に人の作品を取り上げて、ここの表現がだめ、こういうふうに作るべき、と分析批評しています。展開される理論があまりに極端で過激なので賛否両論に別れますが、短歌・俳句を作る人にとって大きな参考になることは間違いありません。つまり彼の本当の偉大さは、自分が優れた作品を残すことよりも、短歌・俳句を志す後世の人々のために明確な道標を残すことを己に課したことにあるのです。そういう意味ではこの作品は、今後無限に続く弟子のための遺言と言ってもいいかもしれません。短歌・俳句が好きな人は絶対に読んでおくべき一冊だと思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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