蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

灰谷健次郎 「砂場の少年」

灰谷健次郎という人はその作品の良し悪しをどうこう言うよりも、テーマに取り組む姿勢そのものを一番評価されるべき人ではないかとえしぇ蔵は個人的に思います。この人ほど子どもの教育ということに関して真正面から取り組み、児童文学という形で自分なりの意見をごまかすことなく明確に表現し、社会に対して訴えかけている作家というのもまずいないのではないかと思います。教育問題は是非の判断が非常に難しいものなので、それを作品化するというのは作家にとってある意味危険性をはらんでいます。書く側が良かれと思って書いたことでも違った受け止め方がなされ、賛同を得られるかと思いきや逆に抗議を受けたりすることはよくある話です。灰谷健次郎も被差別部落の子どもを描いた「笑いの影」において人種差別に対して抗議する姿勢を示しましたが、逆に部落解放同盟から描写に問題があるとして非難されました。おそらくこの作品に関しても賛否両論はあったろうと思います。灰谷健次郎の考え方が正解かどうかはえしぇ蔵にはわかりませんが、教育というものに関してもう一度考えなおしてみる一つのきっかけになることは間違いないと思います。教師が読めば教師なりに、子どもが読めば子どもなりに、親が読めば親なりに、必ずなんらかの影響を受けることでしょう。ストーリーを簡単に言うとよくある学園もので、新任の先生が札付きのクラスを任されて、その先生がどうやって多くの問題ある生徒たちの心をつかんでいくかという内容です。なんだ、そんなありきたりなのかと思わないで下さい。この作品に関してはストーリーはあくまで土台に過ぎません。灰谷健次郎はその上に主人公やその他の登場人物の発言を通して自分の教育論を展開しています。そこを是非読み取って頂きたいのです。教育に関わる仕事をしている方はもちろん、子どもをお持ちの方、そして小学生、中学生、高校生の皆さんに是非読んで、そして教育とは何か?学校とは何か?皆さんなりに考えてみて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

灰谷健次郎 「とんぼがえりで日がくれて」

えしぇ蔵は成人してからもずっと読み続けてる童話があります。それは宮沢賢治の作品とトーベ・ヤンソンのムーミンシリーズ、そして灰谷健次郎の作品です。これらは大人も読むべき童話だと思います。灰谷健次郎という人は少年の頃の感性を忘れずに成長し、大人になってそれを作品にしたような印象を受けます。大人にはもうわからない細やかな子どもの心理を見事に描いていて、読んでる側に懐かしい何かを思い出させてくれます。彼が描くところの子どもたちというのは現実の世界においてあまり見かけることはないかもしれません。特に今のように様々な情報が氾濫する世界においては非常に困難でしょう。子どもたちがまっすぐに育つというのはだんだん難しくなっています。日本は経済的に豊かにはなりましたが、心は貧相になっていく一方です。そんな時代に生まれてくる子どもたちというのは、あの戦後の荒廃した日本に生まれることと比べて果たして幸福なのだろうかと疑問に思うこともあります。人間というのは逆境に生まれるとそれを乗り越える強い力をつけることができ、振り返れば逆にそのことに感謝するということも往々にしてあります。逆に豊な時代に生まれたのに愛情に飢えている子どもたちも大勢います。どんな時代であろうとまっすぐに子どもを育てるのはその時代の大人の責務です。教育するということの大事さはどんな状況下でも永久にその重みを主張しています。ではどう育てればいいのか?どう接していけばいいのか?なにかその導きとなるものはないかということになると、まさに彼の作品がそれにあたると思います。彼が描く子どもはいわば理想の子ども像です。子どもにとっても大人にとっても、彼の作品の中には模範とすべきものがたくさんあると思います。年代を問わず是非読んで頂きたいと思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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