蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

池波正太郎 「蝶の戦記」

人との出会いがあると、えしぇ蔵としてはどうしてもその人がどういう本が好きなのかを尋ねたくなります。本の嗜好というのは人間性の一端を垣間見ることもできますし、何よりそこから話題が広がりますからね。それで毎回いろんな答えが返ってくるわけですが、最も多いのは司馬遼太郎と池波正太郎です。そしてこの二人にはまった人は必ずその作品をどっさり揃えています。「池波正太郎は全部読んだ」という人も何人かいました。つまりはまり方が半端じゃないんですね。そういう自分も本棚を見るとこの二人の作品が大量に並んでいるので、はまる理由は実によくわかります。池波正太郎の本を買って帰った時は他の作家では感じない独特のワクワク感があります。そして読み始めたらあっという間に読み終わってしまいます。なぜでしょう?答えは簡単。超がつく面白さだからです。どんなに長くても気にならないというか、話が終わって欲しくないと思うくらい面白いです。特にこの作品は数多い池波正太郎の歴史物の中でも面白さについてはトップクラスではないかと思います。お得意の忍者もので、主人公のお蝶は女の忍びとして戦国時代の荒れた日本を舞台に大活躍します。事件は次々と起こり、いろんな人物が登場し、合戦はあるわ、お色気はあるわ、エンターテイメントとして最高です。忍者ものと言ってもあり得ないような忍術を使ったりではないし、弱さもあるわけで、人間的に描かれていることが特徴です。だから感情移入しやすいのかもしれません。この作品を第一弾として、続編が「火の国の城」、そのまた続編が「忍びの風」となります。この3つがいわゆる忍者シリーズ三部作です。これとは別に「忍者丹波大介」という作品もありますが、これもまた同じ延長線上にあります。あなたもきっと次々に読んでいくことでしょう。そして同じような歴史物に手を広げ・・・気付いたら本棚が池波正太郎だらけになっていることでしょう。是非はまってみて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

池波正太郎 「真田太平記」

池波正太郎の作品の特徴はなんといっても「文句なしに面白い」ということです。エンターテイメント性が豊かで、読み手の心理を完全にとらえて喜ばせたり、悲しませたり、ハラハラさせたり、爽快にさせたりします。彼の手のひらの上でコロコロと転がされているかのようです。どういう展開なら読み手が楽しめるのか、どういう筋書きなら喜んでもらえるのか?そのへんの奥義を知り尽くした上で余裕をもって書いているという印象を受けます。揺らぎのない大きな力を感じます。一体どんな経験が彼をそこまでにしたのでしょうか?若い頃から歌舞伎や演劇が好きだったことが高じて、彼は劇作家として歩み始めます。その後、師匠である長谷川伸のすすめもあって小説へと移行していくわけですが、彼の劇作家としての経験が、「面白いものを書く」ということの奥義を体得させたのではないかと思います。お客さんを喜ばせるというのが、読者を喜ばせるということに変わっていったのではないかと勝手に推測しています。そんな彼の作品の魅力を楽しむにはあまりに多くの作品があってどれを紹介していいか迷いますが、是非これだけは外して欲しくないと思うのがこの「真田太平記」です。新潮社から出ているのは全12巻でちょっと長いですが、それを全く感じさせないほど夢中になれるのは間違いありません。大きな権力に屈しない小さな真田家の男たちの生き様は痛快そのものです。これを読めばきっとあなたも真田家のファンになります。「文句なしに面白い」池波正太郎の世界をとくとお楽しみ下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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