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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

住井すゑ 「橋のない川」

住井すゑ。ご存知ですか?文学を研究する者に限らず、全ての日本人、全ての人間に敬意を持たれて当然の偉大なる作家であり、偉大なる人です。彼女の生涯追いかけたテーマは、「人間の平等」です。彼女は子どもの頃(6才)からこの概念を抱いて、生涯を通しての行動の基本としました。「人類の母親は人以上のものも、人以下 のものも産まない」という名セリフが彼女の信念を語っていると思います。世界中どこにでもある差別問題、日本においては古くから部落差別は大きな問題でした。同じ人間に生まれて何が違う?人間はみんな平等だということを訴える一つの方法として、彼女はこの大作「橋のない川」を書きます。第7部まである大長編ですが、今までに800万部以上を売ったベストセラーです。「橋のない川」というタイトルだけでもその言わんとする深い意味が読みとれます。どこまで行っても対岸には渡れない。その癖ずっと距離を保ったままお互いが見えている。差別という川を挟んで差別する側とされる側はお互いの岸に行くことができない。日本が長い間続けてきたその状況を変えるべく彼女は孤軍奮闘し、農村で百姓仕事のかたわらこつこつとこの作品を書き続けていきます。その死によって残念ながら予定されていた8部は未完に終わりましたが、この作品はまさに彼女のライフワークであり、メッセージであり、生きる意味でした。人の避ける問題に正面から取り組み、己の信念を貫き、現代に後世に影響を与えるものを残したその姿勢には誰しも敬意を覚えずにはいられないと思います。この本は人として生きるために必要なテキストの一つだと思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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