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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

武者小路実篤 「友情」

ある男性がある女性を好きになって、親友に仲をとりもってくれと頼んだらその女性は親友の方を好きになってしまって、それに気づいた親友がどうしようと迷うパターンは小説の筋書きとしてはこれまで数え切れないくらい使われたでしょうけど、この人が書くとまた一味違って、なんとも爽やかな雰囲気が心地良いのです。読んでて「あぁ文学だなぁ」としみじみ思える作品です。武者小路実篤の小説は、おそらくこの人の人柄のなせることだとは思いますが、非常に良心的であると言えます。登場人物は常識あるいい人ばかり。ストーリーもどろどろとしたもの、殺伐としたものはなく、しみじみと心に残る優しい作品ばかりです。見方を変えればこういう作品は退屈で、説教くさくて、ブルジョア的な一面があるかもしれません。それは読む人の感性によって見え隠れするものだと思います。確かにこの人の小説ばかり続けて読むとそう思うのも無理はないかもしれません。ですが今の時代において読むのなら、むしろ歓迎されるべき性質のものです。21世紀の現在、売れる作品と言えば過激なもの、奇異なもの、不快な方角から神経を刺激するものが多いわけで、こういう時代にこそシンプルで美しく、人間が本来誰しも持っているはずの心の美しさを再認識させるような作品が読まれるべきではないかと個人的には思います。かつての日本人はこういう奥ゆかしい恋愛を通じて人生を学んだということを現代を生きる我々は知るべきではないかと思います。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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