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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

二葉亭四迷 「浮雲」

明治初期の文学というのはまだまだ江戸時代の戯作文学そのままで、時代は変わっても旧態依然としたものでした。そこで文学にも革命を起こそうという動きが出て来て坪内逍遥の登場ということになります。彼の主張は心理的写実主義で、目指すところはいわゆる今の一般的な小説の形に近いものだったようです。そこで発表されたのが「小説神髄」であり、「当世書生気質」でした。ところがそれらの作品は主張とは違って未だに戯作文学の流れをくんだものでした。言ってることとできたものが違うじゃないかということで、それじゃ私が書いてみようと登場したのが二葉亭四迷です。彼はこの「浮雲」を書いて、これが新しい小説の形じゃないの?と反論するわけです。そういう経緯があったので、日本の近代文学の始まりをどこに定義するかという時には必ず、「小説神髄」にすべきだ、「浮雲」にすべきだ、というふうに意見が分かれます。今まで星の数ほど日本文学の傑作は生まれてきましたが、そのルーツを辿って行った場合、最終的には「小説神髄」あるいは「浮雲」に到達するということになるわけで、この作品が日本文学史においていかに重要な存在意義があるかがわかると思います。誰もやらないことをやって新しい道を切り拓いて後進を導き、後の大きな発展の端緒となるいうことはどんな分野においても偉大なる所業です。作品を読んで頂くとわかりますが、いわゆる普通の小説の書き方になっています。これがその最初のものだと思うと読みながらも感銘を覚えてしまいます。作品としても優れたものですがそれでも二葉亭四迷はその出来に満足できなかったので、なんとその後20年ほど小説を書くことをやめてしまいます。彼が求めていたのはもっと高度なものだったんでしょうね。でも充分すぎるほどの傑作です。日本の近代文学の夜明けを告げた名作ですから是非是非!ご一読を。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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