FC2ブログ

蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

黒岩涙香 「幽霊塔」

現在、日本にはたくさんの推理小説作家がいますが、おそらくそのほとんどが横溝正史の影響を受けたことでしょう。その横溝正史は江戸川乱歩の影響を受けています。さらにさかのぼって江戸川乱歩は誰の影響を受けたのでしょう?それがこの黒岩涙香です。江戸川乱歩は子どもの頃に夢中で黒岩涙香の作品を読んでいたそうです。つまり、もし黒岩涙香がいなかったら、日本の推理小説は今のように広く読まれるものになっていなかったかもしれません。日本の推理小説史上において非常に重要な人物です。黒岩涙香は新聞社をいくつか渡り歩いた後、有名な「萬朝報」を創刊します。購読者を増やすために連載小説を自ら書いていましたが、その中にこの「幽霊塔」もありました。次々に面白い作品を発表して人気を得ますが、それらは基本的にオリジナルのストーリーではなく、海外の作品の翻案でした。ここがポイントです。翻訳ではなく、翻案です。ストーリーの大筋はそのままに、日本的にアレンジしたり、自分のアイディアを盛り込んだりして、似てはいるけど違った作品にしています。この手法があたって、「幽霊塔」の他にも「鉄仮面」や「白髪鬼」、「巌窟王」、「あゝ無情」などが人気を博します。「幽霊塔」はイギリスの女性作家アリス・マリエル・ウィリアムソンの「灰色の女」を元にしています。時計塔に隠された財宝を巡って次々と事件が発生します。場面はめまぐるしく展開し、主人公は様々な危機を乗り越えて事件を解決します。いわばルパン的な冒険推理小説です。まさに江戸川乱歩の作品と似ています。結末が早く知りたくて本を閉じることができないほど、読者を惹きつける面白さがあります。ちなみに江戸川乱歩は黒岩涙香が書いたものをさらにリライトして発表しています。日本の推理小説の幕開けを担った人の代表作を是非読んでみて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

 | HOME | 

カテゴリー

ブログ内検索

最近の記事

最新コメント

リンク

このブログをリンクに追加する