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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

岩下俊作 「富島松五郎伝」

「富島松五郎伝」と聞いてもピンとこない人が多いと思いますが、「無法松の一生」と言えば知らない人は少ないでしょう。この作品はあの有名な映画「無法松の一生」の原作です。以前から原作を読みたくてずっと探し続けていましたが、ようやくネットで見つけて買って読みました。そして感動して泣きました。岩下俊作は北九州市小倉出身の作家で、火野葦平らとともに同人誌「九州文学」で作品を発表していました。何度も芥川賞や直木賞の候補にもなっていますが、惜しくも受賞までには至ってません。非常に実力のある作家で、この作品が映画化されてヒットしたことで一躍名を上げます。時代背景は明治の頃で、主人公の松五郎は人力車の車夫です。大変な荒くれもので喧嘩ばかりしていますが、純粋でまっすぐなところもある男です。ある日、怪我をした子どもを救ったことからその父親である吉岡大尉と懇意になります。吉岡家との楽しい交流が続いていましたが、大尉は病気で急死してしまいます。残された奥さんと子どものことを影から支えるけなげな松五郎ですが、いつしか奥さんへの恋心が芽生えていきます。その気持ちを抱えた松五郎は最後にどういう行動に出るのか?是非読んでみて下さい。そしてラストシーンで感動して下さい(小倉祇園太鼓のシーンも素晴らしいです)。岩下俊作は父親が車夫の組合長をしていたので、幼少の頃からその世界を見て育ったようです。それだけに当時の車夫の生活を時代背景とともに的確に描けているわけですね。おそらく松五郎のような車夫がいて、その人をモデルにしたのでしょう。荒くれだがまっすぐで純粋な男。まさに九州男児の典型が松五郎ですね。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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