蔵書

福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

藤原伊織 「テロリストのパラソル」

名を残した作家は優れた文学的才能を持っている反動なのか、人間的に規格外と判断せざるを得ないほど個性が際立った豪快な人が多いです。藤原伊織もそうです。無類のギャンブル好きだったそうで、負けがかさんで大変な借金を抱え、とうとう命の危険にさらされる状況にまで追い込まれた時に、その借金を返済するために賞金が1,000万円だった江戸川乱歩賞にこの作品で応募し、見事に受賞して難を逃れたという凄まじいエピソードを持っています。しかも!この作品はさらに直木三十五賞まで受賞しました。同じ作品がこの2つの賞を受賞したというのは前代未聞の快挙です。特に驚くのは江戸川乱歩賞に応募する際には受賞する自信があったということです。どれだけの天才かと思いますよね。この作品以前にもすばる文学賞などを受賞しており、才能に満ち溢れていました。自分で自分の才能を信じてたんでしょうね。この作品の凄さはほんの20ページほど読めばすぐにわかります。20ページでは止まりませんから。とにかく面白いです。無駄がなく早いテンポで読者をぐいぐい引っ張っていきます。そつのない全体の構成とハードボイルドな雰囲気、予想を裏切る巧みな展開、わかりやすい描写、そして何より登場人物一人一人の際だった個性、何をとっても完璧に仕上がっています。発表の場を待っていた才能が一気に飛び出してくると、こういうものが出来上がるのかもしれません。小説を書くために生まれてきたような人ですが、惜しいかな59歳で亡くなっています。作品も多くないです。それが何より残念です。流星のように駆け抜けた才能が残した名作を是非読んでみて下さい。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

 | HOME | 

FC2Ad

カテゴリー

ブログ内検索

最近の記事

最新コメント

リンク

このブログをリンクに追加する