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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

獅子文六 「達磨町七番地」

獅子文六とくれば滑稽小説です。個性的でユーモラスなキャラクターがいろいろ登場して、おもしろおかしくストーリーが進んでいくという作品が多いです。なにしろペンネームの発想からして滑稽極まりないところです。文六というのは、文豪の上をいきたいという意味だそうです。ぶんごの上だからぶんろくです。これだけでもこの作家の人柄が少しわかるような気がしません?この小説の舞台はパリです。なぜパリか?獅子文六は演劇が好きで、その分野でも活躍しました。ちなみに演劇においては本名の岩田豊雄で活動しています。岸田国士や久保田万太郎と劇団文学座を始めたりしています。若い頃から演劇に魅せられていた彼は、大学を中退してフランスまで演劇の勉強に行きます。この作品はその頃の経験を生かして書かれていますので、フランスにおける日本人留学生たちの生き様が非常にリアルに描かれています。フランスに初めて渡った時に多くの日本人留学生が最初に選ぶ下宿において、ドタバタ劇が演じられます。多くの留学生はフランスでの暮らしに慣れてくるとその下宿を出てよそに移るのに、範平さんは長年そこに主のように住んでいます。この人は大変な国粋主義です。一方で新しく下宿に仲間入りした中上川さんは国際主義です。部屋が隣どうしなので最初は仲良くしていた二人ですが、ある日中上川さんが、自殺しようとしているフランス人女性を助けて下宿に同棲するようになってから二人の間には溝ができます。ところがある事件をきっかけに二人のそれぞれの考えに変化が現れます・・・。1920年代のパリに留学した日本人たちのドタバタ劇は獅子文六の作品の特徴をはっきりと示しています。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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