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福岡ESEグルメのえしぇ蔵による、日本文学の書評ブログ・・・もどきの読書感想文ブログです。

島木健作 「癩」

ちょっとショッキングですが、恐ろしいほど心に深く残る傑作です。舞台は刑務所の中です。労働運動を行っていた主人公は逮捕され、舞台となる刑務所に収監されます。そして過酷な環境での過酷な生活が始まります。ただでさえつらい監獄の中で彼は結核を発病します。結核患者の囚人は病人ばかりの別の棟に移されます。初めてそこに移された時に、他の囚人から「ハイかライか?」と聞かれます。その棟は肺病か癩を患ったものが集まるところでした。彼の房の隣には癩の患者がいました。人として扱ってもらえない監獄の中で、癩によって崩れた顔面や身体の囚人たちがなんの希望もなくただ生きている現状を見せつけられて主人公は大きなショックを受けます。そしてそこに新しい癩病の囚人が送られてくるのですが、それは主人公の知人でした。その囚人は未来のない状況にありながら、それでも自らの信念を守って毅然と生きています。その強い姿に主人公は更なる衝撃を覚えます。しかし一方で主人公の病状は徐々に悪化していきます。島木健作は実際に1928年の3.15事件(社会主義的な活動を弾圧するために行われた全国一斉検挙。約1600人が検挙された)で逮捕され服役していますが、肺結核のために隔離病舎に入っています。おそらくその時の体験を参考にしていると思われます。ちょっと重いですが切実なメッセージが凝縮されており、”生きる”ということについて、本当に多くのことを学ぶことができる作品です。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

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